クラウドファンディングによるシュファット・パレスチナ難民キャンプ支援のお願い
コロナ禍で苦しむシュファット難民キャンプの子ども達へ緊急支援(北海道パレスチナ医療奉仕団 2021/07/07 公開) – クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)
サリーム医師との出会い
2011年 私達が初めて訪問したパレスチナ・ジェリコの難民キャンプの診療所でのことです。初対面の現地スタッフとコミュニケーションがうまくとれない中、大柄で温厚そうな医師が積極的に話しかけてきてくださり、不安と緊張続きだった私達を和ませてくれました。ジェリコの難民キャンプに応援に来ていた国連UNRWAのサリーム医師との出会いが、私達のパレスチナの人々との支援や交流活動の始まりといっても良いでしょう。サリーム医師は東エルサレムのシュファット難民キャンプの出身で、苦労して医師となり出身キャンプで医療活動に従事しています。
シュファット難民キャンプのこと
「ぜひ東エルサレム・シュファット難民キャンプの支援に来てくれないか。」サリーム医師から相談をうけました。
シュファット難民キャンプは東エルサレム唯一の難民キャンプで、イスラエルによるゴミ回収や下水処理など行政サービスは受けられず、不衛生な環境の中、むき出しの電線が何重にも垂れ下がり、雨が降るとショートする中、2万人以上の人たちが暮らしています。この環境の中で呼吸器の疾病や癌などの発生率が高いと伺いました。
この東エルサレム周辺は路地や壁には「我々の土地だ、出ていけ」と五芒星(ダビデの星)の落書きがいくつも書かれているように「パレスチナ人憎し」の対象とされています。頻繁にイスラエル国軍(IDF)の兵士が軍事侵入し、不当な暴力、逮捕が行われます。何十年も住んでいる住居が違法建築、不法占拠だということで家屋が破壊され、家を追い出さえることも頻繁に起きます。 ときにはIDFと占領からの開放を求める住民デモが衝突し、多くのけが人がでます。
以前サリーム医師が衝突で怪我をした子供の処置をしている最中、IDFに至近距離からゴム弾を打たれ、太ももに大怪我を負ったそうです。
このような環境の中、難民キャンプで暮らす人達の衛生環境だけでなく、常に失業の不安や暴力へのストレスから、家庭内DVや子どもたちのPTSDの問題も深刻になってきています。更に現在新型コロナの蔓延が追い打ちをかけ想像を絶する状況がサリーム医師から届いています。
「緊急支援」のお願い
そんな中、サリ-ム医師から私達に支援の要請が届きました。内容は
「コロナ禍で苦しむシュファット難民キャンプの子ども達へ松葉杖や車椅子などの医療・福祉用具を提供して欲しい」との事です。私たちの活動理念は「ものよりも人との交流」でしたが、蔓延する新型コロナ禍で現地へ渡航できず、緊急性があったので、団員で相談し、購入目録の提出を条件に日本円で300,000円をエルサレム慈善協会へ国際送金を決めました。
そこで皆様へクラウドファンディングによるご協力のお願いです。
クラウドファンディングを通して、シュファット難民キャンプの子ども支援で使用した費用を補填していただきたく今回支援を募らせていただきます。是非、支援の輪を広げる力を貸してください。
私達が訪れたときに、文房具をプレゼントしてくれたおじさん、ひき肉パンを買おうとしたら料金を受け取らなかったパン屋さん、一緒にバレーボールやお絵かきをした子どもたち、困難な生活の中でも明るく、親切に接してくれる現地の人たちの少しでも助けになればとの強い思いでおります。ぜひこの支援に皆様のご協力をお願いいたします。
報道と現実のギャップ パレスチナの現実
2021年5月のガザ空爆の報道
今回のガザ空爆は以下のように報道されました。
「2021年5月イスラエルはガザを実効支配しているイスラム教原理主義組織(過激派組織)ハマスによる数千発ものロケット弾攻撃に対しイスラエルは「国民の命を守るため」パレスチナ・ガザ地区のハマスの拠点を空爆した。
ガザ地区では空爆により60人以上の子供を含む200人を超える人たちが亡くなり、更に2000人以上の負傷者を出した。また東エルサレム周辺でも多くのパレスチナ人が死傷している。一方イスラエル側はハマスのロケット弾により10名がなくなったと発表した。」
日本では中山防衛副大臣が「心はイスラエルと共に」とSNSに投稿し一部から強い批判を浴びましたが、国民の多くはなぜ彼が批判されたのか、わからなかったと思いますが無理もありません。現実に起きていることが私達にちゃんと伝えられていませんから。
イスラエルによるパレスチナ人への執拗な嫌がらせと挑発
今回の出来事の発端の一つはエルサレム旧市街にあるイスラム教の聖地アル・アクサ寺院で起きました。多くのイスラム教徒が訪れるラマダン最後の金曜日(今年は5月7日)、イスラエル警察が礼拝の妨害、威嚇など嫌がらせ行為を行い、7万人もの参拝者の一部と衝突し多くの負傷者を出しました。
もう一つは主に東エルサレムで進む住宅の略奪、家屋破壊です。2021年5月には代々この住んできたパレスチナ人の住民がイスラエル地方裁判所により「立ち退き」を命じられました。これまでも入植者による住民への嫌がらせや、家屋破壊、家屋略奪が起きていましたが、この5月の裁判所の決定により東エルサレムだけで、この秋までに100人近いパレスチナ人が住むところを追われことになります。
なぜロケット弾を撃ち込んだのか、うたせたのか?
これらの状況、特にイスラムの聖地であるアル・アクサ寺院参拝への妨害は世界のイスラム教徒への最大の侮辱であり、強い怒りの意志としてロケット弾を打ち込みました。しかしイスラエルとしてはハマスを挑発し殺傷能力の低いロケット弾を打たせるという作戦通りだったと言えます。このハマスの行動を口実に、国際社会の批判をかわしながら、ガザ空爆を始め、東エルサレムなどでのより激しい弾圧を行うという計画は成功しました。そしてこれから更にパレスチナ人への露骨な迫害、強制的な追放、民族浄化を進めてくるのではないかと心配しています。
ハマスと偏向報道
2006年国際監視団立ち会いのもと民主的に行われたパレスチナ議会選挙で「ハマス」は圧勝しました。当時ハマスは医療、教育、福祉に力をいれ、またイスラエルの占領に対し妥協しない姿勢を貫いていたためパレスチナ市民の多くの支持を集めていました。そこでイスラエルはアメリカと共に、パレスチナ第一党から脱落したファタハを支持し、ハマスとの分断、対立を図り厄介なハマスをガザ地区に追いやることに成功しました。さらに日本を含む欧米のメディアをフルに利用し報道の際、常に冒頭に「イスラム教原理主義組織」「過激派組織」つけ、イスラエルにとって不利なことは矮小化し「ハマス=テロ集団」という印象を国際社会に定着させることに成功しました。現実的にはイスラエルの手のひらで踊らされ、ガザ地区に閉じ込められ、限界を超えて追い詰められている状況のハマスは、ときに強権的に暴力的になります。それでもイスラエルによるガザ市民への無差別虐殺を日本でも以下のように報道されるのです。
「イスラエルとガザ地区を実効支配するイスラム教原理主義組織ハマスとの争いで多くの市民が亡くなった。」と